インドのサッカースタイル
サポサポ
インドのクラブへ所属した時のお話を聞かせてください。まず、インドのサッカーはどのような印象を持ちましたか。
太郎さん
インドのサッカーは、個々の技術はあると思うんですが、やり方が昔の日本サッカーみたいでした。
DFはスイーパーを置いて完全に引いている状態、MFはそういう時もほぼ真ん中にいて、FWは攻撃以外何もやらないといった感じ。
太郎さん
一本のボールで簡単に決まってしまったり、ものすごくスペースが空いていたりすることが多かったです。
サポサポ
いわゆる全体が間延びしている状態ですね。
太郎さん
そうなんですよ。
ただ、お互いに間延びしている状態なんで、攻撃も守備もサポートがすごく遅いんですよ(笑)
常に一対一の勝負みたいになってました。そういう状況だと、やっぱりアフリカンの選手が圧倒的に強かったですね。
日本の選手だと、中盤の球出し役だったり、サイドからドリブルで切り込んで行ったりする役割が多かったと思います。
僕もサイドの選手としてプレーしていたんですが、切り込んでシュートを決めることが多かったですね。
サポサポ
ある意味、フォワードが攻撃しやすいサッカーだったということでしょうか。
太郎さん
若い頃の僕であれば、いわゆるキュンキュン系のスピードがある選手だったんでそうだったかもしれないですね(笑)
インドでプレーしている頃には、そこまでスピードはなかったので駆け引きで抜いていこうとしていました。
ただ、とにかく良いパスが来なかったですね。最下位のチームでしたし(笑)
太郎さん
じゃあ、自分で打開するしかないということで、サイドでやらせてもらってました。
サポサポ
インドではどのような指導を受けましたか。
太郎さん
指導者という感じではなかったですね。常に練習試合とシュート練習しかしていない感じで、これは強くならないよなと思っていました。
試合に負けてもただ選手を入れ替えるだけでしたし。
太郎さん
一度、サッカーの内容について提案してみたことがあるんですが、そこでメンバーから外されてしまいました。
言葉がうまく使えなかったこともあって、逆らったと思われたのかもしれないです。
その後は結局、負けが続いてもう一度起用されました。その時に点を取れたんで、なんとかそのチームでプレーを続けていくことが出来ました。
インドという国
太郎さん
タイからインドへ移動した日、着いた時間が午前3時くらいで、ろくに寝てもいない状態で練習を見に行くぞって言われたんですよ。
それで、朝起きて顔を洗ったら、目に膜が張ったみたいになって見えにくくなっちゃたんですよ。
太郎さん
そんな状態でも、見学だけだから大丈夫だと思って行ったら「スパイク履け、試合やるぞ」って言われて。
見たら紅白戦をやっていたんですけど、そこへ参加しろということでした。
太郎さん
朝食も取れてなくて、アップもしていない状態だったのに「お前、コンディションは大丈夫か」って言われて。
太郎さん
そうなんですよ(笑)
そして紅白戦をやった結果、契約の条件を下げて提示されてしまいました。
サポサポ
怪我しなくて良かったというレベルですね。
太郎さん
そうですね、その時は飛行機移動の直後で体も固くなっていましたし、とにかく怪我しないということだけに気をつけました。
結果を出さないとと焦る気持ちもありましたが、怪我をしたら契約はないですからね。
太郎さん
そうですね、給料の未払いもありましたし・・・給料の話だけで事務所へ50回くらい行きました。
太郎さん
最後は「払ってくれないと次の試合は出ないぞ」って言いました。
太郎さん
シーズンが終わった時も「来年の契約を」と言われたけど、今までの分を払ってくれないから嫌だと言いました。
そこでやっと払ってはもらえたので、来年のオファーがあるなら正式に連絡をくれと伝えました。
結局、連絡は来ませんでしたが。
サポサポ
サッカー以外の労力がかかりすぎましたね。
特定の選手に対してマークをせず、相手選手のマークについた選手(ストッパー)が抜かれた時にカバーリングに行く役割のディフェンダーをこう呼ぶことがあります。
昔のサッカーでは、ストッパーが前でスイーパーが後ろという位置取りをしていましたが、現在は役割を分けていても高いディフェンスラインを形成するために、横一列に並んでいることが多いです。