メンタル面
太郎さん
あとは楽しんで取り組めること。
やらなくてはいけないといった義務感が出てしまうのは良くないので、そういった雰囲気を作ることが大切です。
メンタルもそういう方向に持って行かないといけないですよね。
今、子どもの指導もやらせてもらっていますが、小さい子はどうしてもグダグダのところからスタートしてしまうこともあります。
その状態から、自分で上手くなりたいと思えるようになるところまで持って行くことが大切です。
サポサポ
子どもはどうしても集中力が続かないですよね。
太郎さん
ちょっと時間がかかってしまいますが、そこは促していく必要がありますね。
その辺り、大木さんはとても上手かったと思います。方向性を示して、やるべきことをはっきりさせることができる人です。
サポサポ
良い監督は気持ちを持っていくことが上手だとよく聞きますね。
太郎さん
選手達が言われるまで何もやらないのではなく、自ら考えてこういう形でやっていこうと動く状況を作ってくれるんです。
示し方としては、どういう行き方でもいいから、目標へたどり着けばいいぞと。
ただ、ルールはあります。
例えば山頂がゴールならちゃんと山を登ること、という感じで。
サポサポ
道筋は自由ということですね。
そういえば甲府の前任の城福浩監督もモチベーターとして優れていたと聞いています。
太郎さん
城福さんはおそらく選手の気持ちが分かる人なんだと思います。基本的にサッカー選手はみんな攻めたいという気持ちがあります。
それを理解した上で「でも最低限これはやっておかないといけないよ」と示すんです。
その上で自由にやらせるということではないかと。
最初から戦術ありきで話をしてしまうと、始めから考え方が「この形でやらなければ」という方向へ行ってしまいがちなんです。
「やらなければいけない」が強くなりすぎてしまうことがあるんですね。
サポサポ
指導者の方もやっぱりサッカーは好きですよね。
太郎さん
もちろんそうですね。
それでも、その中で選手目線と指導者目線というのがどうしても出来てしまうんです。
ただ、その中でも選手目線も持った指導者の方はモチベーションを上げるのが上手いと思います。
例えば、昇格するチームの指導者や監督を見ていると、必ず練習は最後まで残ります。
出場していない選手の練習まで見ていきます。
控えの選手にしてみれば、しっかり練習で結果を出せば試合に起用される可能性があるということが分かります。
そうすれば、モチベーションも上がりますよね。
そして、その状況をレギュラーの選手も見るわけじゃないですか。そうすると彼らももっとやらなければという気持ちになりますよね。
そうやって相乗効果が出てくるわけです。
もし、これがレギュラーの選手だけを見ていたのでは、当然そういったことは起きません。
ただ、逆にあまりにも競争をさせすぎると、今度は安定感がなくなります。
ですから、ベースはある程度保ちつつ、誰でも出場できる状態にキープさせることが出来る状況がベストになります。
それを実現できる監督はすごいなって思いますね。
自分はまだトップの指導をしたことがありませんから詳しいことは分かりませんが、体験としてそう思います。
サポサポ
太郎さんは、結果を出した多くの指導者の下でプレーをしてきていますから、そういったことが分かるのかもしれませんね。
やり方の自由とは
サポサポ
多くの指導者を見てきたという経験は、ご自分で指導をしていく上でも活きてくるのではないでしょうか。
太郎さん
それはもしかしたらあるかもしれないですね。何かを判断するときの基準は、そういった経験から決まるものだと思います。
その上で自分のスタイルを構築していけたらと思いますね。
かつて経験した方法が答えという示し方ではなく、こういう雰囲気だったという部分を再現していけたらと思います。
サポサポ
先ほどの話でもありましたが方法自体は人それぞれということですね。
太郎さん
そうですね。ただ、そういうやり方は哲学がないと言われてしまうこともあります。
確かにやり方が自由ということは、選手に任せているということです。
もちろん、完全に自由奔放にやらせてしまってはダメです。
そこは、ある程度の枠組みを設ける必要があります。
例えば「きっちり守備はやる」とした時に、どこでボールを取る形にするかを決めれば、攻撃に要する距離がどのくらいになるかといった事が必然的に決まります。
そういった感じで指針を示しておけば徐々に形は定まってくると思いますし、それを練習中にどれだけ意識させておけるかが大切になってきます。
サポサポ
最低限の決まり事、共通認識を持たせた上での自由が大切なんですね。
太郎さん
難しい部分でもあるんですが、昇格を決めたチームはそういう事ができていたと感じています。