海外への挑戦
サポサポ
2チーム所属して日本へ一旦戻った後に、もう1チームですね。
最初と二番目のチームで、昇格を経験していますよね。
サポサポ
タイのサッカー事情はどんな感じでしたか。
宇留野さん
今もそうですが、空前のサッカーブームですね。お金があるオーナーがチームを所有しているという形が多いと思います。
宇留野さん
低くはないですよね。最近ではACLにも出てますし。
成績が良いチームの理由は、だいたい外国人がむちゃくちゃ強いんですよね。
宇留野さん
僕は外国人枠を、他の国で代表をやっているような強い選手たちと競うことになりました。
だから日本でやっていたときより、厳しいというか緊張感がありましたね。
試合に出ていなければアウト、半年で切られることもしょっちゅうあります。
宇留野さん
出られないとアウトというのは分かりやすいですけどね。
サポサポ
分かりやすいですがシビアですね。どのチームもそうなんですか。
宇留野さん
おそらくは。
具体的な話をすると、いつも仲良くて一緒に練習していた韓国人がいたんですが、ある日の練習前にちょっと事務所に寄るから先に行っててと言われて練習場に行ったんです。
そうしたら、そのまま姿を表さなくて。聞いたらレンタルにそのまま出されていました。
サポサポ
最後の言葉が「先に行ってて」だったんですね。
宇留野さん
ホントに突然でしたね。
他でも、練習で「あれ、あいついないぞ」って思ったらクビになっていたりしました。
宇留野さん
監督もそうですよ。
来ないなぁと思ったらクビになっていたりします。
去年(2015年)なんて、何回監督が変わったか分からないくらいですよ。
宇留野さん
ないですね。本当にその時その時という感じです。
サポサポ
ちなみに、タイを選んだ理由は何だったんでしょうか。
宇留野さん
J2の中位以下のクラブでアウトになったら、ちょっと目先を変えていかないとっていう意識があって。
また、前々から海外でサッカーをしてみたいという気持ちもあったんですよ。
だからロアッソ熊本をクビになった時点で海外へ行くことを考えていました。
海外に強い代理人と話をしたりして。
アメリカへ行ってトライアウトを受けようかと考えたり、シンガポールには実際に受けに行ったりして。
あ、石田(石田博行)って覚えてますか?
彼が元々海外でやっていて、そういうところに詳しかったんで、海外でやりたいと相談したら、タイのチームと話を通してくれたんです。
サポサポ
石田さん、覚えていますよ。紹介だったんですね。
宇留野さん
そうしたら、いますぐ来てくれって言われて(笑)
宇留野さん
とりあえず、すぐに来て1週間練習に参加して欲しいという話で。
その頃はタイのことを全然知りませんでした。
ちょうど大洪水があった年だったので、そのイメージしかなくて、大丈夫かなと思いながら行きました。
実際には本当に被害が大きい一部だけが映像として流れていたようで、特に問題はありませんでした。
ただ、早く来いと言った割には空港に迎えもないし、行っても全然練習に参加させてもらえなくて。
宇留野さん
それでもう一週間が終わるぞというタイミングでやっと少し練習に参加できたんです。
そうしたらバンコク・ユナイテッドFCの監督が気に入ってくれました。すぐ契約してくれと言われましたね。
ただ、こちらはもっと練習に参加してみないとクラブのことが分からないから返事ができないって話ですよね。
結局1ヶ月も滞在していました。
そうしたら、ビザが切れそうになってきて「やばいぞ」ってなったんですけど(笑)
少しですが練習にも参加できてクラブの雰囲気も分かっていましたし、何より自分を必要としてくれるクラブがあることも嬉しくて、とりあえず一年やってみようという感じで入りました。
サポサポ
翌年に移籍したのは何か理由があったんでしょうか。
宇留野さん
チームがプレミアリーグに昇格したこともあるんですが、基本的に外国人はみんな1年契約でコロコロ変わっちゃうんですよ。
自分としては残りたい気持ちもあったんですが、戦力外と言われては仕方がないということで、次を探しているときに声をかけてもらいました。
そこがエアフォース・ユナイテッドFCっていうタイの空軍がやっているチームなんですけど、ちょうどお金をかけて昇格するぞっていうタイミングで呼んでもらいました。
宇留野さん
そうですね、歴史も一番長いチームですし。おかげで昇格をまた経験できました。
日本へ帰国
サポサポ
日本へ帰国したあと再びHonda FCへ加入していますね。
宇留野さん
タイも面白かったけど、もういいかなと思っていたタイミングで、Honda FCから声をかけてもらったんですよ。
それもプロとして3年くらいで契約してもらえるという話だったんですよ。
35歳の選手にそんな長いスパンで見てくれるなんて、普通無いですからね。
将来的にはコーチとかも視野に入れているという話もあったので、こんなありがたい話はないぞということで受けました。
宇留野さん
そうしたら・・・全然刺激がなかったんですよ。
宇留野さん
さっきも言ったとおりHonda FCは設備も整っていて環境も良い素晴らしいクラブなんです。
ただ、今までJ1やJ2、そして海外での降格や昇格の緊張感の中ですごく刺激的な経験をしてしまったために、HondaFCで刺激を感じることが出来なくなっていたんです。
それで、残り少ないサッカー人生をここで終わっていいのかという気持ちが強くなってきたんです。
自分の中でまた守りに入り始めたんじゃないかという想いも出てきて・・・打ち込めなくなっていましたね。
サポサポ
なるほど。
確かにむしろ余り整っていない環境の方が、刺激は多いかもしれないですね。
宇留野さん
特にタイは刺激的でしたから。自分から動かないと何もならなくて。
給料も自分で事務所へ行かないともらえなかったんです。
宇留野さん
行ってこないから悪いんだろくらいのい勢いですよ。
ビザとかも自分で取らないといけないし。
何をするにも刺激が多かったですよ。だからこそ楽しかったですね。
そんなこともあってHondaFCに入ったものの物足りなさを感じてしまったんですよね。
選手としてももちろんですけど、例えば自分がその環境で監督になったとして、刺激があるのだろうかと思ったときに・・・そう思えなかったんです。
サポサポ
なるほど、HondaFCに所属している未来の姿が見えなかったということですね。
宇留野さん
それで、クラブと相談しました。もう一度チャレンジしたいということで辞めてまたタイに行きました。
ケンカ別れとかではないですよ。
宇留野さん
いや、9月くらいまでだったので・・・そこでクビになってしまって。
そのときに、もう難しいかなと思って日本へ帰りました。
アジアサッカー連盟(AFC)が主催する各国のクラブチームによる選手権大会です。
優勝チームは全世界のクラブチームが対決するFIFAクラブワールドカップへの出場権が得られます。