現役引退
宇留野さん その後もなかなか踏ん切りがつかなくて・・・帰国してからもサッカーをしたいという気持ちがあって、三ヶ月くらい何もせず一人でトレーニングしていました。
ただ、一人で目的もなくトレーニングをやるというのはきついですよね。
サポサポ きついですね。
宇留野さん そう思ったら急に虚しくなってきて。あの時期が一番難しかったですね。
先は見えないし、別の道にも進めないし。
今の実家の近くにある諏訪湖の周りを走ったりしていました。
ダッシュとかするんですけど・・・このダッシュ辛いけど何のためにやってるんだろうって思いながら(笑)
サポサポ (笑)
宇留野さん そう考えたらすごく虚しくなって。
その後、移籍のマーケットが開いたとき(移籍期間)に、現役へチャレンジしようって気持ちにならなかったんですよ。
ここでまた一年やったとしても、そのあとにまた今の状況がやってくるって思ってしまって。
それで、もう辞めようって思いました。
そんなときに太郎がひとりで活動していると知っていたので、そこをちょくちょく手伝いはじめました。
太郎もひとりで手が回らないところもあったので。
ただ、太郎はも僕の(踏ん切りがつかない)気持ちを知っていたから、一緒にやろうとは言わなかったですね。
そうこうやっていく中で、いよいよ次の道へ行こうかなと思い始めました。
サポサポ 実際にやってみないと次の道は見えてこないのかもしれないですね。
宇留野さん 本当に・・・本当に難しかったです。ずっとやってきたことを辞めるというのは。
サポサポ 人によって引退の理由とか踏ん切りの付け方とかは違いますよね。
宇留野さん 僕、ブログをやっていたんで、そこで引退って書けば終われたんですけど、結局書いてないんですよ(笑)
サポサポ (笑)
宇留野さん まだなんかあるんじゃないか、みたいな気持ちがあって。
3ヶ月あればコンディションを戻せるし、とか。
サポサポ もしかしたら、引退試合をする選手っていうのは、そういう気持ちの整理もあるのかもしれないですね。
宇留野さん 引退をすっぱり出来る人はすごいなって思いますね。
サポサポ 今はどういう状況なんでしょうか。
宇留野さん 3月に徹さんと岡山で会ったんですよ。
引退を考えてるんですよって言ったら、J2開幕戦があるから岡山へ来いと言われて。
そんな開幕戦の忙しいときに徹さんが会ってくれて、そのときに「引退します」って伝えて踏ん切りが付きましたね。
今後
サポサポ どういう方向へ行きたいという具体的な希望はありますか。
宇留野さん 今、本当に色々なことをやっています。
スクールコーチやプライベートコーチ、あとは隔週でクリニックをやったり、大人のサッカー教室をやったり。
今はありがたいことに色々なお話を頂いていて、忙しいですが本当に楽しいです。
太郎と二人で「無いものを大きくしていくこと」に取り組んでいます。
目的が分かりやすいですし、楽しいですよね。
この機会を与えてくれたのが太郎ですね。あの人間性で仕事が来ているということもありますし。
サポサポ 新しい刺激を得るきっかけが見つかったということですね。
宇留野さん そうですね。
太郎は僕以上に引退するにあたって悩んでいたと思うんですよ。
そういう意味で同じ思いを持っています。
太郎も引退後は色々なことをやったみたいですよ。会社員とか警備員まで。
本当に色々な分野を試したあと、やっぱり自分にはサッカーしか無いという結論が出て、今の形になったんです。
サポサポ 試行錯誤の末に行き着いたんですね。
宇留野さん 探せば古巣で下部組織のコーチというのも、タイミングが合えばあったかもしれないです。
でも、そうではなくて自分たちで作り出すことにやり甲斐を感じています。
人によって魅力を感じるところは違うと思うんですが、そうやって作り上げていくことが僕にとっては楽しいんですよ。
続けていくうちに沢山の人が協力してくれるようになりましたし。
サポサポ そこはサッカー選手を続けてきた中で出来た人脈もありますよね。
宇留野さん 嬉しいことに大人のサッカー教室を都内でやったら、山梨から来てくれる人もいるんですよ。
ヴァンフォーレのユニフォームを着てきてくれて。本当にありがたいですよね。
サポサポ 一生懸命にやってきた人には、熱心に応援してくれる人が必ずいますよね。
宇留野さん ここまでやってきた中で、徹さん、安間さん、大木さんという人達と出会いました。
やっぱり何をするにしても人というか、どのように接していくかというところが、大切になるのかなと感じています。
そういう尊敬する人達のおかげで自分の今があると思っているので。
メッセージ
サポサポ 読者の方へメッセージをお願いします。
宇留野さん お話をさせていただく機会がある時によく言っているのは「サッカーというのは決して良いだけのものではない」ということです。
むしろ、プレッシャーを感じて辛いときの方が遥かに多いと思います。
ただ、ゴール決めたときや勝ったときは、その味わってきた苦しさを上回る楽しさや嬉しさがあるんですよね。
サポサポ 今後指導をしていく子供たちへどういったことを伝えたいですか。
宇留野さん 残念ながら全員がプロになれるわけではないと思うんです。
でも、今そこでサッカーが出来ていることに感謝して欲しいと思います。もちろん両親にも感謝して。
当たり前にサッカーが出来ているということについて、見直して欲しいと思います。
明日、自分がどうなるかは誰にも分かりませんから。
サポサポ サッカーをできることのありがたみを感じて、改めて意識して、全力で挑んでほしいということですね。
宇留野さん サッカーに限らず普段から出来ることへのありがたみを感じてほしいです。
いつどこで何が起こって、出来なくなってしまうか分からないですから。
いつもいつも、朝が来るとは限らないというのは、震災後から特によく伝えています。
サポサポ なるほど。それも一度実感したからこそ言える話ですよね。
本日はどうもありがとうございました。
今後の活動にも注目しています。
宇留野さん ありがとうございました。頑張ります。
高校生でのレベルの差による挫折、大人になってからの生死すら分ける病気など、ネガティブな出来事も多かった宇留野さんですが、それらを糧にしたことで、プロサッカー選手として活躍できるまでになりました。

これまで当たり前に出来たことが、明日は出来ないかもしれないというメッセージは、宇留野さんだからこそ伝えられる大切なものだと思います。

とても饒舌にお話をしていただいたので、とても長いインタビューになりましたが、これから先に挑んでいく情熱を感じることが出来ました。

これからの宇留野さんにも注目していこうと思います!

ここまで読んでくださった皆様にお知らせです。
宇留野純さん、杉山新さん、須藤大輔さんらが出演するトークイベントが2016/11/13(日)に山梨県防災新館で行われます。
こちらのイベントは、ヴァンフォーレ甲府クラブサポーターや後援会会員の方には割引もご用意しています。

詳しくはこちらをご覧ください。
ヴァンフォーレ甲府を長く支えてきたスポンサーが開催するフットボール・トークライブ
(予約で席を確保できます)

それでは皆様、次回もお楽しみに!
□ご注意ください
当サイトでは著作権法で定められた引用以外の転載を禁止させて頂いております。
また、当サイトの運営はヴァンフォーレ甲府と一切関係がありません。クラブへの当サイトに関するお問い合せはご遠慮ください。